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肝胆膵チーム
対象疾患
肝胆膵領域の悪性疾患(膵癌、胆道癌、原発性及び転移性肝癌、十二指腸乳頭部癌、膵管内腫瘍や神経内分泌腫瘍等の特殊腫瘍)・良性疾患(胆石症、慢性膵炎、膵胆管合流異常症など)に対する外科治療に精力的に取り組んでいます。
膵癌(及び難治癌)に対する集学的外科治療
全国で年間40,000人以上の方が膵癌と診断される一方で、その大部分にあたる36,000人以上の方が亡くなっており、本邦癌死の第4位です。膵癌の5年相対生存率は8.5%、死亡率90%を超える最凶の癌と言えます1)。これまでは技術的に切除可能であれば「すぐに切除」が標準治療とされてきましたが、大規模無作為化比較試験(Prep-02/JSAP05試験2))の結果3)をもとに、膵癌診療ガイドラインでも切除可能膵癌に対しても術前化学療法を行ってから手術をすること(Neoadjuvant Chemotherapy)が提案されています4)。当診療グループでも、切除可能な膵癌に対して、原則全例で術前化学療法(GS療法)を行った後に、根治切除を行っています。また、切除可能境界・切除不能膵癌に対しても、一定期間の全身化学療法を行って、病勢が制御されていれば、化学放射線療法を追加した後に根治切除(Conversion Surgery)を行っています。
膵癌以外でも、外科手術だけで根治が難しい、高度進行癌・転移を伴う癌・再発癌などで、腫瘍内科・放射線治療科と連携しながら、適切な手術による予後改善(集学的外科治療)に取り組んでいます。
参考
- 国立がん研究センター がん情報サービス
- Jpn J Clin Oncol. 2019 Feb 1;49(2):190-194.
- JCO.2019.37.4_suppl.189
- 膵癌診療ガイドライン2019年版(web改訂)
慢性膵炎に対する外科治療
慢性膵炎は、アルコールや胆石症、遺伝的原因で膵臓に長期間に渡る炎症が生じ、膵機能が衰えていく疾患です。内科的治療が行われますが、手術が有効な場合もあります。当科では、症状緩和効果が高く、侵襲の少ない、Frey手術(膵頭部芯抜きを伴う膵管空腸側々吻合術)を実施しています。外科手術によって、膵機能が改善したり、膵癌発生率が低下するという報告があります。
臨床試験
- 腹膜転移を有する膵がんに対するS-1+パクリタキセル経静脈・腹腔内投与併用療法の無作為化比較第III相多施設共同臨床試験(先進医療, 医師主導治験)
- Borderline Resectable 膵癌を対象とした術前ゲムシタビン+ナブパクリタキセル療法と術前S−1併用放射線療法のランダム化比較試験(特定臨床研究)
上記の前向き介入試験のほかにも、幾つかの観察研究・後ろ向き研究を実施し、肝胆膵領域の悪性・良性疾患治療のエビデンス創出に貢献しています。
診療体制
スタッフは、外科専門医・消化器外科専門医を取得し、更に肝胆膵外科学会高度技能修練施設として、肝胆膵外科高度技能専門医2名を中心に、肝胆膵高難度手術を年間50例以上実施しています。合併症発生率が高い、肝胆膵手術にも積極的にクリニカルパスを導入し5)、診療行為の質を担保しています。また、NST(栄養サポートチーム)と協力し、周術期の栄養補助療法によって、外科的・腫瘍学的アウトカムの改善を目指しています。
参考
- 外科. 2021. 83(1) :28-32
肝胆膵チーム写真