- HOME
- >
- 診療グループ紹介
- >
- 乳腺チーム
乳腺チーム
乳がんは2017年の全国統計では年間約9万人を超える方が罹患され、女性「がん」の第1位となりました。増え続ける乳がん患者様に対応し、2021年2月より専門チームによる診療を開始しております。
当科を初診で受診される患者様は、まず日本乳癌学会乳腺専門医が診察させていただきます。マンモグラフィ、超音波等の検査で発見された病変は原則組織診(針生検、VAB、ST-MMT)を用いて病理組織学的に良性・悪性の診断を行っています。乳がんと診断された方に対してはサブタイプを決定し、画像診断による臨床的進行度を決定しています。適応のある方には遺伝学的検査を行い、BRCA変異の有無を含めて治療方針を決定しております。認定遺伝カウンセラー®による遺伝カウンセリングも可能です。日本看護協会が認定する乳がん認定看護師が患者様の相談に応じ、自己決定を支援しております。画像診断はNPO法人精中機構が主催するマンモグラフィ講習会、超音波講習会を受講し認定された医師・技師で行われております。また、定期的に放射線診断科とミーティングを行い質の向上に努めております。
乳がんの治療
治療は乳がんのサブタイプ、ステージ、全身状態、患者さんの希望等を総合して決定しております。手術・薬物治療・放射線療法等、治療は日本乳癌学会ガイドライン、St.Gallenコンセンサス会議、NCCN・ASCO・ESMO等ガイドラインの結果に沿って行われ、常に最新論文、学会発表を参考に最新の知見を加味しております。妊孕性(にんようせい)温存、がんゲノム医療、また該当者の方には臨床試験への参加を促しております。表は乳がんのサブタイプとその薬物治療を纏めたものです。
手術
乳房温存手術、(乳頭・乳輪温存)乳房全切除術、乳房再建手術、RI併用センチネルリンパ節生検、腋窩リンパ節郭清を行っております。乳房温存手術の場合は原則切除断端の術中迅速診断を行い、切除範囲にがん細胞の遺残が無いことを確認しております。形成外科と合同で(乳頭・乳輪温存)乳房全切除症例における一次・二次乳房再建手術も可能となっております。また、発症者である遺伝性乳癌卵巣癌症候群の患者様に対してリスク低減手術(乳房、卵巣)、乳房再建手術、サーベイランスも可能です。
表.乳がんのサブタイプと薬物治療
エストロゲン 受容体(ER) |
プロゲステロン 受容体(PgR) |
HER2受容体 | Ki 67 | 薬物治療 | |
ルミナールA (Luminal A) |
強陽性 | 強陽性 | 陰性 | 低い | 内分泌療法 (抗がん剤) 分子標的療法 |
ルミナールB (Luminal B) |
陽性 | 陽性~陰性 | 陰性 | 高値 | 内分泌療法 抗がん剤 分子標的療法 |
ルミナールHER2 (Luminal-HER2) |
陽性 | 問わない | 陽性 | 問わない | 内分泌療法 抗がん剤 分子標的療法 |
HER2 | 陰性 | 陰性 | 陽性 | 問わない | 抗がん剤 分子標的療法 |
トリプルネガティブ (Triple Negative) |
陰性 | 陰性 | 陰性 | 問わない | 抗がん剤 分子標的療法 免疫チェックポイント阻害剤 |
gBRCA変異陽性 | 問わない | 問わない | 問わない | 問わない | 抗がん剤 分子標的療法 (内分泌療法) 免疫チェックポイント阻害剤 |
その他
JBCRG、CSPOR-BC等の臨床試験グループに参加しております。県内全ての患者様が安心して乳腺専門医による良質の診療を受けられるよう、県内の乳腺専門医と定期的にオンラインミーティングを行い、知識のアップデートに努めております。
診療には学生が同席させて頂くことがあります。患者様へ最新の医療を提供すると同時に思いやりのある医療を展開する事が重要であることを実地臨床から学んでほしいと考えております。患者様も学生教育にご協力いただければ幸いです。
ドクター詳細
河合賢朗
資格
日本乳癌学会 乳腺専門医・指導医
日本外科学会 外科専門医・指導医
日本乳癌学会 診療ガイドライン副委員長 疫学・診断
日本乳癌学会 患者さんのための診療ガイドライン 副委員長
日本乳癌学会 学術委員会 委員
日本乳癌学会 評議員
日本乳がん検診精度管理中央機構
検診マンモグラフィ読影認定医師・読影講師(評価A-S)
乳がん検診超音波検査実施・判定医師・読影講師(評価A)
日本乳房オンコプラスティックサージャリー学会
乳房再建用エキスパンダー/インプラント責任医師
社会医学系専門医協会 社会医学系専門医・指導医
医学博士
受賞履歴
- 2008年05月 ナノ学会第6回大会 若手優秀演題賞
- 2010年08月 日本乳癌学会 研究奨励賞
- 2011年01月 平成22年度 東北大学医学部奨学賞 銀賞
- 2011年01月 宮城県医師会 医学奨励賞
- 2020年10月 日本乳癌学会 Reviewer賞
- 2021年07月 日本乳癌学会 Reviewer賞